『チェンソーマン』に登場する蜘蛛の悪魔プリンシは、公安対魔特異4課のメンバーとして活躍する異形の悪魔です。
マキマへの絶対的な忠誠心と、特殊な転送能力を持つプリンシですが、闇の悪魔との戦いで壮絶な最期を迎えることになります。
プリンシの死亡経緯や眷属としての正体には、作品の核心に迫る重要な設定が隠されています。
この記事では、『チェンソーマン』の蜘蛛の悪魔プリンシの死亡シーンと最後の瞬間、特殊な能力の詳細、そしてチェンソーマンの眷属だった真実について解説します。
蜘蛛の悪魔の死亡シーンと最後の戦い
プリンシは地獄において闇の悪魔との戦闘で命を落としました。
この壮絶な死亡シーンには、プリンシのマキマへの忠誠心と、圧倒的な力の差が描かれています。
闇の悪魔との遭遇と戦闘
デンジの心臓を狙う世界各国の刺客が襲来し、戦況は混沌を極めていました。
ドイツのサンタクロースが闇の悪魔と契約したことで、デンジたちは地獄へと召喚されます。
地獄に落とされたのは以下のメンバーです。
- デンジ
- ビーム
- アキ
- 天使の悪魔
- パワー
- コベニ
- 暴力の魔人
- クァンシと魔人の取り巻き2名
この時点では、プリンシは地獄にいませんでした。
闇の悪魔の圧倒的な能力によって、デンジたちは次々と攻撃を受けます。
理不尽なほどの力の差により、ほぼ全員がボロボロにされます。
ほぼ全員がボロボロにされたところで、地面からプリンシが突如として現れたのです。
自らの能力を使って地獄に侵入し、闇の悪魔への不意打ちを試みました。
手足をバラバラにされた経緯
プリンシの奇襲攻撃は、残念ながら闇の悪魔には通用しませんでした。
圧倒的な力の前に、プリンシは瞬時に反撃を受けます。
闇の悪魔の能力によって、プリンシの全ての手足は切断されてしまいます。
体中に穴を開けられたり、両手を切断されたりと、デンジたちと同様の攻撃を受けたのです。
バラバラにされた体では、もはや戦闘を続けることは不可能でした。
戦闘不能状態となったプリンシですが、ここで驚くべき行動を取ります。
現世にいるはずのマキマと、地獄から意思疎通を図ったのです。
マキマへの忠告と召喚命令
プリンシは地獄にいながら、マキマとの会話を開始しました。
「来てはいけません」とマキマに進言します。
地獄の危険性を理解していたプリンシは、マキマの身を案じて警告したのでしょう。
しかしマキマは、この忠告を聞き入れませんでした。
「呼べ」という短い命令だけを、プリンシに下します。
命令を受けたプリンシの体中心を走るジッパーが開き始めました。
そこからマキマが地獄へと召喚されていきます。
闇の悪魔の挑発に乗る形で、マキマは自ら地獄へ向かう決断を下したのです。
マキマの登場により、デンジたちは地獄から脱出できました。
トーリカを利用することで、現世への帰還を果たします。
死亡後の遺体回収とマキマの支配下
地獄から帰還した後、アキの発言によってある事実が明らかになります。
パワーと天使の悪魔以外の公安対魔特異4課の人外メンバーは、全員が死亡していたのです。
この発言から、プリンシも命を落としたと考えられます。
プリンシの死因については2つの可能性があります。
- 闇の悪魔に手足を切断された影響
- マキマを地獄に召喚したことによる代償
悪魔や魔人が手足を切られただけで死亡することは少ないため、召喚の代償として命を失った可能性が高いでしょう。
プリンシの遺体はマキマによって回収されました。
他の公安メンバーの遺体とともに、マキマの支配下に置かれます。
銃の悪魔との決戦において、マキマはプリンシたちの能力を行使しました。
死後もなお、プリンシの力はマキマのために使われ続けたのです。
プリンシが眷属だった真実と元ネタ
プリンシの正体には、チェンソーマンの世界観に関わる重要な秘密が隠されていました。
マキマがパワーを殺害した直後、プリンシの亡骸とともにある真実が明かされます。
チェンソーマンの眷属としての正体
マキマは8名の名前を挙げました。
- セラフィム
- ビーム
- ガルガリ
- ドミニオン
- ヴァーチェ
- パワー
- プリンシ
- エンジェル
これらの存在は、チェンソーマンの眷属(けんぞく)であるとマキマは語ります。
パワーやプリンシは読者にも馴染みのあるキャラクターですが、セラフィムやヴァーチェといった名前は初めて登場しました。
眷属とマキマは信仰こそ異なるものの、チェンソーマンを守るという目的は共有していたとされています。
マキマの信仰は、チェンソーマンを手に入れることで人類を支配することだったと考えられます。
一方、眷属たちの信仰は自由の獲得ではないでしょうか。
ビームが地獄で死亡する直前に残した意味深な言葉は、この眷属の信仰を指していると思われます。
権天使プリンシパリティとの関連
8名の名前には、ある共通点が存在します。
これらはキリスト教における天使階級の名前と一致しているのです。
- パワー:能天使(のうてんし)パワー
- プリンシ:権天使(けんてんし)プリンシパリティ
このような対応関係から、プリンシの名前は権天使プリンシパリティに由来すると判明しました。
天使九階級における位置づけ
権天使プリンシパリティは、天使九階級において七番目の階級に位置します。
国家とその支配者層の守護を司る天使とされています。
チェンソーマンの眷属が天使階級と結びついているとなれば、チェンソーマン自体の正体も明らかになってきます。
チェンソーマンは堕天使ルシファーに相当する存在だと考えられるのです。
「失楽園」の物語において、大天使だったルシファーは神に反旗を翻します。
「人間に仕えよ」という命令に不満を持ち、天界を追放されました。
その際、ルシファーに従った元天使たちが眷属になったとされています。
眷属の信仰とマキマとの違い
プリンシたち眷属は、チェンソーマンのために尽くしていました。
マキマもチェンソーマンを守るという点では同じ目的を持っていたものの、その信仰の本質は大きく異なります。
マキマは支配を望み、チェンソーマンの力を利用しようとしていました。
対して眷属たちは、チェンソーマンそのものへの忠誠と、自由への希望を抱いていたのでしょう。
プリンシがマキマに忠実だったのは、マキマの支配能力によるものではなく、自らの意志だったと思われます。
執事のように仕える姿勢は、他の悪魔や魔人とは明らかに異なっていました。
プリンシの能力を徹底解説
プリンシは戦闘と転送の両面で特殊な能力を持っていました。
蜘蛛の悪魔としての特性を活かした多彩な力について、詳しく見ていきます。
ジッパーを使った転送能力の仕組み
プリンシの最も特徴的な能力が、顔の中心を走るジッパーを介した転送システムです。
このジッパーを開くと、プリンシの体が二つに割れます。
割れた体の間から、他者や物体を別の空間から召喚することが可能です。
マキマを地獄に呼び寄せた際も、この能力が使われました。
ジッパーには興味深い特徴があります。
プリンシの顔面に常に見えているわけではなく、見えない時もあるのです。
地獄でマキマと会話している場面では、ジッパーは確認できませんでした。
これは能力の使い分けを示していると考えられます。
テレパシー能力を使用している間は転送能力が使えない、つまり一度に複数の能力は発動できないという制限があるのでしょう。
多脚による肉弾戦スタイル
プリンシの戦闘は、蜘蛛のような複数の脚を活用した近接戦闘が基本です。
8本の脚はブレードのような形状をしており、相手を切り裂く攻撃に特化しています。
脚の先端は鎌のように鋭く尖っており、簡単に首を切り落とせるほどの切れ味を持ちます。
初登場となったテロリストグループ殲滅作戦では、量産されたゾンビを次々と切り裂きました。
蹴り飛ばす攻撃や刺突による攻撃など、脚を使った多彩な戦闘技術を持っています。
また、天井に張り付くことも可能で、立体的な戦闘が展開できるのです。
特異4課の隊員である鮫の悪魔ビーム、暴力の魔人ガルガリ、天使の悪魔らと共闘し、テロリストグループの主犯であるサムライソードと沢渡アカネの確保に貢献しました。
地獄との往来を可能にする力
プリンシは自力で地獄に侵入しています。
闇の悪魔との戦いの際、地面をすり抜けるようにして地獄に現れました。
この世と地獄を自由に行き来する能力を持っていると考えられます。
この設定は、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」からインスパイアされたものでしょう。
蜘蛛の糸が地獄と現世を繋ぐように、プリンシも両世界を繋ぐ存在なのです。
転送能力の一環として、空間移動や次元移動が可能である可能性も高いでしょう。
地面から突如現れる演出は、まさにこの能力を示しています。
通信とテレパシーの可能性
地獄にいたプリンシは、現世のマキマと会話を交わしました。
この遠隔通信能力は、通信やテレパシーの類だと思われます。
ただし、この能力がプリンシ側のものなのか、マキマ側のものなのかは明確ではありません。
マキマは支配の悪魔として多様な能力を持っているため、マキマが一方的にプリンシと繋がった可能性もあります。
前述の通り、テレパシー使用時にはジッパーが見えなくなっています。
複数の能力を同時に使えない制限があることから、通信能力はプリンシ自身が持っている可能性が高いでしょう。
マキマとの特別な関係性
プリンシとマキマの関係は、他の悪魔や魔人とは一線を画していました。
支配ではなく、自発的な忠誠に基づく特別な絆が存在していたのです。
忠実に仕える姿勢の理由
プリンシは常に無表情で、必要最低限のことしか話しません。
しかしマキマに対しては、執事のように自ら進んで仕えている様子が見られます。
パワーやビームはマキマを恐れて支配下にある印象が強いものの、プリンシは異なります。
恐怖からではなく、自らの意志でマキマに従っていたのです。
この忠誠心の源は、眷属としての使命感かもしれません。
チェンソーマンを守るという目的において、マキマとプリンシの利害が一致していた可能性があります。
地獄でマキマに「来てはいけません」と進言した場面からも、マキマの身を本気で案じていたことが分かります。
単なる支配関係では生まれない、深い信頼関係があったのでしょう。
他の悪魔とは異なる信頼関係
マキマもプリンシを特別に信頼していました。
デンジが世界各国の刺客に狙われることになった際、マキマはプリンシにだけ重要な指示を出しています。
「どうなってもデンジ君だけは助け出して」という命令に加え、「今回はおそらく大勢死ぬだろうけどできるだけ仲間の死体だけは回収して」とも伝えました。
この指示は、プリンシの能力と責任感を見込んでのものです。
他のメンバーには任せられない、重大な任務をプリンシに託したのです。
重要任務を任された背景
なぜマキマはプリンシに遺体回収を依頼したのでしょうか。
それはプリンシの転送能力と、地獄への侵入能力があったからです。
死亡したメンバーの遺体を回収し、マキマの支配下に置くことで、その能力を再利用できます。
プリンシの空間転送能力があれば、混乱した戦場からでも遺体を安全に回収できるのです。
マキマの計画において、プリンシは重要な役割を担っていました。
信頼できる存在として、最も困難な任務を任せられるだけの評価を得ていたのです。
性格の特徴と人間への態度
プリンシの上半身は人間の女性に似た姿をしています。
悪魔や魔人は頭部の見た目が人間から遠いほど狂暴になる傾向があり、プリンシは比較的おとなしい性格です。
人間の姿に近いことから、人間には友好的な態度を取ります。
公安のデビルハンターとして活動できたのも、この友好性があったからでしょう。
ただし悪魔であることに変わりはなく、癇癪(かんしゃく)を起こせば簡単に人を殺してしまいます。
同僚のデビルハンターたちは、この危険性を理解して警戒していました。
下半身からは蜘蛛のような複数の脚が生えており、顔の中心にはジッパーが走るという異形の姿。
それでも人間社会に溶け込んでいたのは、プリンシの努力と公安の理解があったからです。
まとめ
『チェンソーマン』の蜘蛛の悪魔プリンシは、闇の悪魔との戦いで手足をバラバラにされ、マキマを地獄に召喚した後に死亡しました。
プリンシの能力は、ジッパーを介した転送能力、多脚による肉弾戦、地獄との往来、通信能力など多岐にわたります。
マキマとは支配ではなく自発的な忠誠に基づく特別な関係を築いており、重要任務を任されるほどの信頼を得ていました。
そして83話で明かされた真実により、プリンシはチェンソーマンの眷属であり、権天使プリンシパリティが元ネタであることが判明しています。
プリンシの存在は、『チェンソーマン』の世界観の深さを示す重要なキャラクターなのです。