『鬼滅の刃』の蛇柱である伊黒小芭内(いぐろおばない)は、最終決戦において鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)との壮絶な戦いの末に命を落としました。
常に口元を包帯で隠し、相棒の白蛇・鏑丸(かぶらまる)と共に戦う彼の人生は、幼少期から過酷な運命に翻弄され続けてきたものでした。
蛇柱の壮絶な生い立ちと、恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじみつり)への想いは多くの読者の心を揺さぶります。
また、最終決戦での活躍や二人の最期の会話も感動的な場面として描かれています。
この記事では、『鬼滅の刃』の伊黒小芭内の過去と死亡の経緯、甘露寺蜜璃との最後について解説します。
伊黒小芭内の過去と壮絶な生い立ち
伊黒小芭内の幼少期は、想像を絶するほど過酷な環境で過ごされました。
彼が口元を包帯で隠している理由や、どのような経緯で鬼殺隊に入隊したのかを詳しく見ていきましょう。
女蛇鬼の生贄として座敷牢で育てられた幼少期
伊黒一族は代々女蛇鬼へ赤子を生贄として差し出し、その見返りに金品を受け取るという恐ろしい取引を続けていました。
この一族は女性ばかりの家系で、370年ぶりに誕生した男子が伊黒小芭内だったのです。
生まれた瞬間から座敷牢に閉じ込められた小芭内は、毎日豪華な食事を与えられて大切に育てられていました。
しかし夜になると不気味な音が響き、神経をすり減らす日々が続きます。
後にその音の正体は、女蛇鬼が自分を見に来ていたことが判明しました。
12歳になった時、ついに座敷牢から連れ出された小芭内は女蛇鬼の元へ向かいます。
両目の色が違う変わった瞳と男性であることから、女蛇鬼のお気に入りとなったのです。
口を切り裂かれた傷と包帯で隠す理由
女蛇鬼に気に入られた小芭内でしたが、体が小柄で成長が遅かったため、すぐに生贄にされることはありませんでした。
しかし、早く食べたくて仕方ない女蛇鬼は、自分の口と同じようにしたいという欲求から小芭内の口を切り裂いたのです。
溢れ出た血を飲んだ女蛇鬼によって負わされたこの傷が、小芭内が常に包帯で口元を隠している理由でした。
この時の恐怖と屈辱は、彼の心に深い傷を残すことになります。
座敷牢に戻された小芭内は、脱走することだけを考え続けました。
盗んだ簪(かんざし)で木製の格子を削り続け、その過程で出会った白蛇の鏑丸と共に脱出を図ったのです。
鏑丸との絆と鬼殺隊への道のり
座敷牢からの脱出は小芭内にとって人生の転機となりました。
相棒となる鏑丸との出会いと、鬼殺隊への入隊について説明します。
座敷牢からの脱出と相棒との出会い
長い時間をかけて格子を削り続けた小芭内は、ついに座敷牢からの脱出に成功しました。
この時、彼の右目の代わりとなって周囲を見張っていたのが白蛇の鏑丸です。
二人は運命的な出会いを果たし、共に脱走を敢行しました。
しかし逃走中に追手に捕まり、殺されそうになったところを当時の炎柱・煉獄槇寿郎(れんごくしんじゅろう)に救われます。
命の恩人となった煉獄によって、小芭内は新たな人生を歩み始めることができたのです。
煉獄槇寿郎に救われ柱になるまで
煉獄槇寿郎に救出された小芭内は、従姉妹と再会することができました。
しかし、自分が座敷牢から逃げ出したことで家族50人が殺されたという事実を知らされます。
逃亡すれば家族が殺されることは理解していたものの、生贄になることへの恐怖から必死に逃げてきた小芭内。
クズの人間から生まれた自分もまたクズだと自らを責め、人並みの人生を歩むことができずにいました。
やり場のない怒りと憎しみを鬼にぶつけるようになった小芭内は、鬼から人々の命を救うことで自分がいい人間になれた気がしていたのです。
この想いが、彼を鬼殺隊の柱へと押し上げる原動力となりました。
伊黒小芭内の死亡に至る最終決戦
最終決戦では鬼舞辻無惨との激しい戦いが繰り広げられました。
小芭内の勇敢な戦いぶりと、最期まで仲間を守り抜いた姿を詳しく解説します。
無惨戦での両目失明と鏑丸との連携
上弦の肆・鳴女(なきめ)との戦いに勝利した小芭内と甘露寺蜜璃は、無惨の元へ向かいました。
無限城を自由に操る鳴女の血鬼術に対し、小芭内が戦略を考えて対応していきます。
愈史郎(ゆしろう)の計画により、鳴女の視覚や脳を操って柱が死亡したという虚偽の情報を無惨に送ることで、柱全員で無惨と戦う作戦が実行されました。
しかし炭治郎が無惨の攻撃を受けそうになった際、小芭内と蜜璃が助けに入ったことで作戦がバレてしまいます。
無惨は不要になった鳴女を殺しましたが、無限城全体を操っていた鳴女の死により城が崩壊し、全員が外に投げ出されました。
戦いは続き、小芭内は赫刀(かくとう)を手に入れて無惨の頸に刃を入れますが、すぐに再生されてしまいます。
悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)が透き通る世界で無惨の体の秘密を見抜いた瞬間、無惨の凄まじい攻撃による衝撃波で小芭内は両目を失明してしまいました。
それでも治療を受けて戦線に復帰し、相棒の鏑丸が目となって戦い続けたのです。
炭治郎を守った身代わりの致命傷
無惨が口を巨大化させて炭治郎を食べようとした時、小芭内は迷わず身代わりとなりました。
上半身と頭部を噛みつかれ、致命傷を負ってしまいます。
無惨の攻撃には猛毒が血液と混ざっているため、小芭内の状態は極めて危険でした。
それでも最後まで炭治郎を守り抜こうとする意志を貫いたのです。
甘露寺蜜璃との最後と死亡シーン
無惨が陽光によって塵となった後、小芭内と蜜璃は最期の時間を共に過ごしました。
二人の感動的な別れの場面について解説します。
お互いの想いを告白した最期の時間
戦いで両腕を失い、痛みの感覚もなくなった甘露寺蜜璃を、小芭内は優しく抱きかかえました。
お互いが惹かれ合い、好きだった気持ちを初めて素直に告白したのです。
小芭内は蜜璃と初めて出会った時のことを振り返り、彼女の明るく優しい心に救われたことを伝えます。
蜜璃もまた「好き」だと気持ちを伝え、二人は深い愛情を確認し合いました。
出会った頃からお互いを想い合っていた二人にとって、この瞬間は何よりも尊いものでした。
来世での結婚を約束した別れの言葉
蜜璃が「自分はもうすぐ死ぬ」と話すと、小芭内は「一人残して死なせない、俺ももうすぐ死ぬだろう」と答えました。
二人は来世で人間として生まれ変わったら結婚しようと約束を交わします。
この約束は、現世では叶えることのできなかった二人の願いでした。
最期の瞬間まで愛し合った二人の絆は、死を超えて続いていくことになります。
死亡確定の根拠と描写の真実
小芭内の死亡については直接的な描写がないため、本当に死んだのか疑問視する声もありました。
しかし、いくつかの根拠から死亡が確定していることが分かります。
23巻扉絵に示された生死の証拠
単行本23巻の扉絵では、左右でキャラクターの生死が分かれて描かれています。
左側には悲しい表情で冨岡義勇、不死川実弥、嘴平伊之助、我妻善逸、竈門禰豆子が配置されました。
右側には笑顔で小芭内、甘露寺蜜璃、竈門炭治郎、悲鳴嶼行冥が描かれており、この右側が死亡キャラクターを表していると考えられています。
また、炭治郎を押し上げるシーンでは小芭内の羽織を着た腕が映っていたことからも、死亡は確定的です。
本人が語った死を覚悟した発言
甘露寺蜜璃の死に際して、小芭内自身が「俺ももうすぐ死ぬだろう」と命が長くないことを悟った発言をしています。
この言葉は、自分の死期を察した小芭内の率直な気持ちを表したものでした。
致命傷を負った状態で、もはや助からないことを理解していた小芭内の覚悟が窺える場面です。
輪廻転生した甘露寺蜜璃との結末
現世では叶わなかった二人の願いは、来世で実現することになりました。
最終話で描かれた感動的な結末について解説します。
現世では叶わなかった二人の願い
23巻第200話「勝利の代償」で小芭内は死亡し、現世で蜜璃と結婚して子孫を残すことはできませんでした。
しかし、死の間際に交わした来世での結婚の約束は、確実に果たされることになります。
二人の深い愛情は死によって断ち切られることなく、時を超えて続いていくのです。
定食屋を営む来世の夫婦描写
単行本23巻205話「幾星霜(いくせいそう)を煌めく命」では、輪廻転生した世界が描かれました。
そこには小芭内と蜜璃にそっくりな夫婦が定食屋を営んでいる姿があります。
旦那さんは小芭内と同じように口元をマスクで隠し、奥さんは蜜璃と同じように胸が大きく描かれています。
これは子孫ではなく、二人の生まれ変わりとして登場した姿でした。
幸せそうに定食屋を営む夫婦の姿は、生まれ変わっても同じ人と結ばれた二人の夢が叶ったことを示しています。
現世で果たせなかった結婚の約束が、来世で実現したのです。
まとめ
『鬼滅の刃』の伊黒小芭内は、幼少期から女蛇鬼の生贄として過酷な環境で育ち、座敷牢からの脱出を経て鬼殺隊の柱となりました。
最終決戦では鬼舞辻無惨との戦いで両目を失いながらも、最後まで仲間を守り抜き、炭治郎を庇って致命傷を負います。
甘露寺蜜璃との最期の時間では、お互いの想いを告白し、来世での結婚を約束しました。
現世では叶わなかった二人の願いは、輪廻転生した世界で定食屋を営む夫婦として実現し、永遠の愛を証明したのです。
小芭内の壮絶な人生と蜜璃への深い愛情は、多くの読者の心に深い感動を与える物語となっています。