『ハンターハンター』は1998年の連載開始以来、その緻密な世界観と複雑なストーリー展開で多くのファンを魅了してきた作品です。
主人公・ゴンを中心に描かれる壮大な物語の中でも、特に謎めいた展開を見せているのが、ゾルディック家の末っ子・カルトの幻影旅団入団という出来事です。
伝説の暗殺一家であるゾルディック家は、幻影旅団との関わりを一切禁じていました。
しかし、カルトは単独でNo.4として旅団に加入。
さらに、カルトの「兄さんを取り戻す」という謎めいた言葉は、新たな展開を予感させる重要な伏線として注目を集めています。
この記事では、『ハンターハンター』におけるカルトの幻影旅団入団の真相と、カルトが取り戻そうとしている「兄さん」の正体について、様々な角度から詳しく考察していきます。
カルトと幻影旅団の意外な関係
ここからは、ゾルディック家の末っ子であるカルトと、裏社会最強の盗賊団と呼ばれる幻影旅団との関係性について詳しく見ていきましょう。
ゾルディック家の末っ子・カルトの実力
カルトは、ゾルディック家の5人兄弟の末っ子として生まれました。
- イルミ(長男)
- ミルキ(次男)
- キルア(三男)
- アルカ/ナニカ(四男)
- カルト(末っ子)
幼い頃から英才教育を受けたカルトは、キルアに次ぐ実力を持つと言われています。
その能力は操作系の念能力者で、「紙」を自在に操ることができ、特に扇子から放つ攻撃は刃物のような切れ味を持ちます。
家族の中でも、イルミ、キルア、カルトの3人は特別な教育を受けており、その実力は並々ならぬものがあります。
幻影旅団との危険な関わり
現当主であるシルバは、かつて単独で幻影旅団のメンバーの暗殺に成功しています。
しかし、その後は家族全員に「旅団とは関わるな」と強く忠告していました。
それほど危険な組織として認識していたのです。
しかし、キメラアント編の後、カルトは単独で幻影旅団への入団を決意。
ヒソカの抜けた「No.4」のポジションを継承することになります。
これは、シルバの忠告を真っ向から無視する行動でした。
「兄さんを取り戻す」という謎のセリフ
キメラアント編で、カルトは「何年かかっても兄さんを取り戻す」という意味深な言葉を残しています。
このセリフは、フェイタンとキメラアントの戦闘シーンの回想の中で登場しました。
特に注目すべきは、その回想シーンに写る写真です。
写真には母・キキョウと5人兄弟のみが写っており、カルトが言及する「兄さん」の姿は確認できません。
この写真の謎は、カルトの真の目的を考える上で重要な手がかりとなっています。
カルトが幻影旅団No.4になった理由
ここからは、カルトが幻影旅団のNo.4として加入するに至った経緯について、詳しく解説していきます。
なぜ単独で入団を決意したのか
幻影旅団への入団には通常、現メンバーとの一対一の戦いに勝利する必要があります。
しかし、カルトの場合は異なる経路で入団を果たしました。
その理由は、元No.4のヒソカの存在にあります。
ヒソカは実際には入団しているふりをしていただけで、その席は実質的に空席でした。
このポジションに、カルトは独自のルートで加入することになったのです。
イルミよりも先に入団した真意
興味深いのは、カルトが兄のイルミよりも先に旅団入りを果たしている点です。
イルミは後にクロロからヒソカ暗殺の依頼を受けて入団していますが、実はそのヒソカ暗殺計画にはカルトも深く関わっていました。
さらに、ヨークシン編でイルミは十老頭暗殺の依頼をクロロから受けており、すでに旅団との接点を持っていました。
にもかかわらず、カルトが先に入団を果たしたことには、何か特別な理由があると考えられます。
クロロとの取引の全容
カルトの入団には、クロロの個人的な事情が大きく関係していました。
クロロは当時、クラピカの「制約と誓約」により念能力を封じられていた状態でした。
この状況を打開するため、クロロは除念師の捜索をイルミに依頼。
しかし、イルミは自身よりも探索能力に長けているカルトを推薦します。
カルトの操作系能力は除念師の発見に適していたと考えられます。
このように、カルトの入団は単なる偶然ではなく、クロロの切実な要望とカルト自身の目的が合致した結果だったのです。
イルミを介した緻密な計画のもと、慎重に進められた入団劇でした。
「兄さんを取り戻す」対象は誰なのか
ここからは、カルトが言及した「兄さんを取り戻す」という言葉の真意について、様々な可能性を検証していきます。
最有力候補フェイタン説の根拠
「兄さんを取り戻す」という言葉の「兄さん」を指す人物について、フェイタン説が最も有力視されています。
その理由は、ゾルディック家、特にキキョウ(カルト達の母親)との関連性にあります。
キキョウは流星街の出身であることが明かされており、フェイタンも同じく流星街出身の旅団メンバーです。
注目すべき点として、以下の特徴が挙げられます。
- フェイタンの暗殺者としての高い能力
- 拷問技術の習熟度
- ゾルディック家に似た戦闘スタイル
また、ゾルディック家の遺伝的特徴にも興味深い関連性が見られます。
- 白髪系統(変化系):ゼノ、シルバ、キルア
- 黒髪系統(操作系):キキョウ、イルミ、ミルキ、アルカ、カルト
フェイタンは黒髪でありながら変化系能力者という特異な存在です。
これは、キキョウが流星街にいた時期に生まれた子供である可能性を示唆しています。
ミルキ説:能力を奪われた兄の可能性
ミルキ説が注目される最大の理由は、クロロが使用する「オーダースタンプ」という能力にあります。
この能力に関して、以下の点が重要な根拠となっています。
- ミルキの趣味であるフィギュアコレクション
- 未だ明かされていないミルキの念能力
- クロロの「オーダースタンプ」との類似性
特に、ミルキが大量のフィギュアを収集していることから、ミルキの念能力は人形を操る系統であると推測されています。
そして、クロロがヒソカとの戦いで使用した「オーダースタンプ」もまた、人形を操る能力でした。
この一致は偶然とは考えにくく、以下のシナリオが想定されます。
- クロロがミルキから能力を奪取
- カルトはその事実を知っている
- 兄の能力を取り戻すため、旅団に潜入
この説に従えば、カルトの「兄さんを取り戻す」という言葉は、実は「兄の能力を取り戻す」という意味だったことになります。
キルア説・愛する兄への想い
キルア説は、家族関係とカルトの感情面に焦点を当てた解釈です。
この説を支持する要素として、以下の点が挙げられます。
- キルアの現状
- アルカを守るためゾルディック家を離脱
- 暗殺者としての道を放棄
- 家族との決別
- カルトの行動と感情
- ハンター試験後のゴンたちへの敵意
- キルアへの特別な感情の示唆
- アルカの危険性への理解
特に注目すべきは、カルトがゴンたちを訪問した際の態度です。
カルトは、キルアの友人たちを鋭く睨みつけていました。
この行動は以下のように解釈できます。
- キルアへの強い執着
- ゴンたちへの嫉妬心
- 家族から離れたキルアへの複雑な感情
さらに、カルトはゾルディック家の一員として、アルカの存在が持つ危険性を十分に理解していると考えられます。
そのため、「兄さんを取り戻す」という言葉には、以下の意味が込められている可能性があります。
カルトはキルアをアルカの影響から救出し、本来の暗殺者としての道へと導き戻すことを目指しているのかもしれません。
つまり、単なる物理的な「救出」ではなく、ゾルディック家の一員としてのキルアを取り戻すという、家族としての強い想いが込められているとも解釈できます。
この説では、カルトの旅団入団は、大切な兄であるキルアを本来あるべき場所に「取り戻す」ための実力と影響力を得るための手段だったと解釈されます。
このように、ミルキ説とキルア説はそれぞれ異なる角度からカルトの真意を探る重要な視点を提供しています。
どちらの説も「兄さんを取り戻す」という言葉に独自の解釈を与え、カルトの行動の動機を説明しうる可能性を持っています。
写真に映る5人の兄弟の謎
回想シーンに登場した写真には、現在判明している5人兄弟全員が写っています。
しかし、カルトが言及する「兄さん」の存在は確認できません。
この矛盾は以下の可能性を示唆しています。
- 写真に写っていない異母兄弟の存在
- 既知の兄弟の中に隠された真実
- 「取り戻す」という言葉の比喩的な意味
この写真の謎は、カルトの真の目的を理解する上で重要な手がかりとなっています。
まとめ
『ハンターハンター』におけるカルトの幻影旅団入団は、「兄さんを取り戻す」という個人的な目的と深く結びついています。
現時点では、フェイタン説が最も有力な仮説として注目されていますが、他の可能性も完全には否定できません。
カルトの行動の背景には、
- ゾルディック家の複雑な事情
- 流星街との繋がり
- 幻影旅団との緻密な関係性
が存在しており、今後の展開で真相が明かされることが期待されます。
シルバの「旅団には関わるな」という警告を無視してまで入団を決意したカルトの真意。
そして、カルトが取り戻そうとしている「兄さん」の正体。
これらの謎は、『ハンターハンター』の物語において重要な伏線となっているのかもしれません。
今後の展開から目が離せません。