『チェンソーマン』で描かれる早川アキ(はやかわあき)の死は、読者に計り知れない衝撃を与えました。
デンジの先輩として真面目で優しい人柄を持つ彼でしたが、中盤で銃の魔人として息を引き取ることになります。
家族の仇として憎んでいた銃の悪魔に取り込まれた理由とは。
未来の悪魔による予言が示した本当の意味とは。
数々の疑問が残されています。
この記事では、『チェンソーマン』の早川アキが死亡した経緯と復活の可能性、そして銃の悪魔に身体を乗っ取られた真相について解説します。
- アキの最後はなぜ悲劇的だったのか
- 銃の悪魔になぜ取り込まれたのか
- 死亡から復活する可能性を徹底考察
- 未来の悪魔が告げた予言の全貌
- バディの姫野との絆と死別の経緯
- 狐・呪い・未来と結んだ契約の代償
- デンジとパワーを守り続けた優しさ
- 弟を失った日とデビルハンター志望の原点
- クールな外見と面倒見の良さの魅力
- まとめ
アキの最後はなぜ悲劇的だったのか
読者の心に消えない傷を残した早川アキの最期。
デビルハンターとして家族の復讐を誓った彼が辿った運命は、あまりにも皮肉なものでした。
憎き仇である銃の悪魔に身体を奪われ、かけがえのない仲間の手で命を落とすという結末を迎えます。
デンジに殺される運命の伏線
「デンジとパワーに殺される」という衝撃的な予言を、未来の悪魔はアキに告げていました。
この未来を変えようと考えたアキは、天使の悪魔を伴ってマキマの元へ向かいます。
ところがこの選択こそ、彼を破滅へと導く引き金となったのです。
「早川アキの全てをくれるなら力を貸す」とマキマは告げました。
支配の悪魔である彼女の能力により、アキは本人の意思など関係なく支配されてしまいます。
その後マキマが銃の悪魔を召喚すると、アキの肉体は銃の悪魔によって乗っ取られ、「銃の魔人」という姿に変貌させられました。
デンジが暮らす早川家へ、銃の魔人となったアキは訪れます。
鳴り響くチャイムに気づきながら、デンジは何故かドアを開けてはならない気がして無視を続けました。
ところがマキマからの電話によって「死体に取り憑いた銃の悪魔が早川家を訪ねている」と知らされ、デンジはドアを開けることになります。
現れたのは、アキの外見をした銃の魔人でした。
事実を受け入れられないデンジでしたが、次々と一般人を虐殺していく魔人に憑依されたアキへは、いかなる声も届きません。
最終的にデンジは、アキを殺害する以外の選択肢を失いました。
雪合戦が映し出した走馬灯の真実
デンジとの壮絶な戦闘が現実世界で展開される中、わずかに人格を保ったアキの意識は異なる場所にありました。
幼い姿のデンジとパワーがそこには存在し、3人で雪合戦を楽しんでいます。
現実ではアキが投げる雪玉が、家屋の破壊行為へと繋がっていました。
デンジの攻撃で切り裂かれながら、アキの意識に蘇ったのは「キャッチボールがしたかった」という記憶です。
お互いに攻撃を仕掛け合う遊びが雪合戦であるのに対し、キャッチボールは互いにボールを繋ぎ合う思いやりの遊びです。
この対比が示すものは何でしょうか。
病弱だった弟タイヨウとキャッチボールをするため、グローブを取りに弟が家へ戻った直後、銃の悪魔に家を破壊された過去をアキは持っています。
家族の中で孤立していたアキにとって、「キャッチボール」という行為は弟や両親との「コミュニケーション」への渇望を象徴していると考えられます。
未来の悪魔が語った「最悪な死に方」は、アキ本人ではなくデンジにとっての最悪を意味していました。
家族同然の大切な存在を、自分自身の手で殺害しなければならないという悲劇だったのです。
銃の悪魔になぜ取り込まれたのか
偶然ではなく計画的な企みにより、早川アキは銃の魔人へと姿を変えました。
すべてはマキマによる綿密な策略でした。
マキマの計画とアキを選んだ理由
人々への脅威となる概念をチェンソーの悪魔に食べさせ「良い世界を作る」こと、それがマキマの真の狙いです。
チェンソーマンの支配を望んでいた彼女にとって、ポチタとデンジの契約は障害となっていました。
そこで彼女が考えたのが、デンジにとって家族に等しい早川アキを銃の魔人化させることで、複数の目的を一度に果たす作戦です。
アキの死によってデンジが絶望し、ポチタとの契約が破棄される。
これが1つ目の狙いでした。
銃の悪魔を倒したチェンソーマンが英雄視されることで悪魔として弱まり、支配が容易になる。
これが2つ目の目的です。
銃の悪魔が死亡した際、その血肉を操る能力をマキマは銃の悪魔との契約で獲得していました。
つまりアキを銃の悪魔に殺害させれば、銃の悪魔の血肉となったアキの身体を思いのままに操り、デンジとの戦闘が可能になるわけです。
アキを銃の魔人にすることが、マキマにとって最も効率的な手段だったと言えます。
未来の悪魔の予言が示した運命
デンジとパワーが死ぬ光景を目にしたくないと考えていたアキは、家族の敵である銃の悪魔との戦いを諦めようとしていました。
ところが未来の悪魔から「デンジによってアキとパワーは殺される」「未来を変えることは不可能」という言葉を告げられます。
デンジとパワーだけは幸せになってほしいと願ったアキは、運命の変更をマキマに相談しました。
その結果として、支配の悪魔であるマキマに「命令」という形で支配されることになったのです。
マキマの命を狙って現れた銃の悪魔により、アキは殺害されました。
アキの遺体に憑依した銃の悪魔は、そのままデンジがいる早川家へと歩を進めます。
未来の悪魔が視た予言は、こうして現実のものとなりました。
死亡から復活する可能性を徹底考察
第一部で命を失った早川アキですが、悪魔や魔人の転生が作中で描かれる『チェンソーマン』の世界観から、復活や再登場を望む読者の声は絶えません。
地獄で蘇る銃の魔人説
『チェンソーマン』の世界では、何度殺されても悪魔は地獄で蘇るという設定が存在します。
デンジがチェンソーマンの悪魔の力を有するように、血を飲めば悪魔は復活可能なため、銃の魔人も地獄で蘇っている可能性は極めて高いです。
ただし銃の魔人として蘇ったとしても、早川アキ本人の意識や記憶を持った状態とは限りません。
マキマの力で復活させられたレゼやクァンシも、生前の記憶を失った状態で再び姿を現しました。
したがって銃の魔人の復活があったとしても、元の姿と人格を持った早川アキが戻ってくる見込みは薄いと考えられます。
転生体としての再登場シナリオ
最も現実味のある復活説は、早川アキが「転生体」という形で再び登場する可能性です。
転生体は、死亡した悪魔が人間界で別の個体として生まれ変わった姿を指します。
第二部において、マキマは「ナユタ」という転生体となり、デンジと共に生活する様子が描かれています。
ナユタはマキマとしての記憶こそ持ちませんが、支配の悪魔の能力は維持しているのです。
このケースから推測すると、銃の悪魔の転生体として、記憶を失った状態で早川アキが再登場する可能性は充分あります。
アキが転生体として帰還するなら、その容姿は銃の悪魔と人間が融合した魔人に近い形態になるでしょう。
しかし銃の悪魔は第一部でデンジに敗北しているため、転生が実現するとすれば第二部以降の展開となるはずです。
人間界で銃の悪魔がどのような容姿で転生するか、そして早川アキとの関連性があるかが、多くの読者の関心を集めています。
記憶を持ったままの復活は困難
元々人間だった早川アキは魔人ではないため、悪魔のように地獄での復活はありません。
同じ人格でアキが蘇ることを希望する読者は多数存在します。
しかしこれまでの展開や悪魔の性質を踏まえると、その実現は非常に困難だと考えられます。
悲劇的な宿命を背負い、壮絶な最期を迎えることで、デンジの成長と物語の大きな転換点となったのが早川アキというキャラクターです。
元の姿で安易に復活させてしまえば、積み重ねてきた物語の重みが失われるため、作者がそのような選択をする可能性は低いでしょう。
未来の悪魔が告げた予言の全貌
早川アキの運命を大きく変えたのが、未来の悪魔との契約でした。
破格の条件での契約でしたが、その見返りは想像を超える重さを持っていました。
右目に宿った未来視の能力
サムライソードとの戦いで狐の悪魔を失ったアキは、新たな契約相手として未来の悪魔を選びます。
代価としてアキの右目を要求した未来の悪魔は、「お前は未来で最悪の死に方をする」という予言を告げました。
アキの悲惨な死に様を自分の目で確認したいという理由で、未来の悪魔は破格の条件での契約に応じます。
死に方を伝えようとする悪魔でしたが、仲間の命を何より優先し、自身の寿命に無関心なアキは耳を貸さず、即座に未来の悪魔を右目に迎え入れました。
少し先の未来が視えるという能力が、未来の悪魔の力です。
視えるだけでは本来意味がありませんが、元々優れた戦闘能力を誇っていたアキが敵の行動を予測できるようになったことは、大きな意義を持ちました。
右目で数秒先の未来を捉えられるようになり、戦闘で圧倒的な優位性を獲得したのです。
最悪な死に方が意味したもの
未来の悪魔が口にした「最悪な死に方」という言葉の本質は、終盤で判明します。
アキ自身にとっての最悪ではなく、デンジにとっての最悪を指していたのです。
家族と変わらない存在であるアキを、デンジ本人の手で殺害しなければならない展開。
これ以上の残酷な結末は存在しないでしょう。
未来の悪魔はこの悲劇を初めから認識しており、その光景の目撃を望んで破格の条件でアキと契約したと推測されます。
「デンジとパワーに殺される」という未来を未来の悪魔から告げられていたアキは、天使の悪魔から「未来の変更は不可能」とも言われていました。
運命を変えるためマキマに助けを求めた行為が、皮肉にもその予言の成就を招く結果となったのです。
バディの姫野との絆と死別の経緯
早川アキにとって姫野は、かけがえのない存在でした。
公安対魔特異4課で活躍する熟練のデビルハンターである彼女は、アキのバディとして強い絆で結ばれていました。
姫野がアキに抱いた恋心
アキと組むまでに5人のバディを喪失していた姫野は、アキを失うことを最も恐れていました。
当時まだ未成年だったアキに、姫野はデビルハンターの心構えなどを指導する過程で、恋愛感情を抱くようになります。
任務後の食事や週一回の早川アキの自宅での飲酒など、仕事の枠を超えてプライベートでも時間を共有していた二人。
アキに煙草の味を教え、アキの耳にピアスの穴を開けたのも姫野です。
アニメ放送前に公開されたMAPPAのティザーPVには、アキと姫野の関係を示唆するベッドシーンの描写が含まれ、ファンを驚かせました。
薄暗い室内で上半身裸のアキが煙草を吸い、隣では愛おしげな眼差しでアキを見つめる姫野が描かれています。
アキへの片思いを続けていた姫野でしたが、二人が恋人関係になることはありませんでした。
姫野の想いは、一方通行のまま終わりを迎えます。
バディ時代のある日、姫野はアキに危険なデビルハンター業を辞め、共に民間企業へ転職しようと提案したこともありました。
しかしアキの決意は揺るがず、姫野の提案は実現しませんでした。
命を捧げた最後と手紙の意味
蛇と刀の悪魔を操る謎の人物による襲撃事件が、特異4課を襲います。
刀の悪魔はサムライソードという名の元チンピラで、デンジに殺害されたヤクザの孫でした。
復讐を目的に特異4課を攻撃したのです。
深い傷を負った姫野は、その場にいたアキを守るため、契約していた幽霊の悪魔に残された寿命すべてを差し出し、アキをサポートするよう依頼します。
「アキ君は死なないでね。私が死んだ時さ…泣いてほしいから…」という最後の言葉を残しながら、姫野は幽霊の悪魔に全身を捧げて姿を消しました。
ところが幽霊の悪魔は、敵のヘビの悪魔に飲み込まれてしまいます。
後日アキは、敵となった幽霊の悪魔と再び対峙することになりました。
首を絞められて追い詰められますが、突然幽霊の悪魔の腕の力が弱まり、アキの眼前に「Easy revenge!(気軽に復讐を!)」と記された1本の煙草が現れます。
それは以前姫野がアキから預かっていた煙草で、姫野からアキへの最後のメッセージでした。
このメッセージで幽霊の悪魔の弱点を思い出したアキは、危機を脱して幽霊の悪魔を撃破します。
姫野は最後の瞬間までアキを守り通したのです。
狐・呪い・未来と結んだ契約の代償
作中で早川アキは3体の悪魔と契約を交わしていました。
それぞれの契約には、重大な代償が付随していました。
イケメン好きの狐が去った理由
早川アキが最初に結んだ契約相手が、狐の悪魔です。
指で狐の形状を作り「コン」という合図で狐の悪魔を召喚する姿が、印象的でした。
社交的な性格で公安のデビルハンター達の多くが契約している狐の悪魔ですが、イケメンを好むという独特な嗜好を持っています。
認めたイケメンには「コン」の呪文で頭部を使わせますが、そうでなければ手足しか使わせませんでした。
戦闘中に「コン」と唱えると狐の悪魔の頭部が出現し、相手を丸呑みにする攻撃が可能です。
代償は比較的軽く、皮膚や毛髪を捧げていました。
通常は足などしか姿を現さない狐の悪魔ですが、容姿が良いアキの呼びかけには頭部の姿で応えています。
しかしサムライソードという人間でも悪魔でもない存在を食べさせられた狐の悪魔は、アキを見限ってしまいます。
強敵との戦いで無理に能力を使用させたことで狐の悪魔の機嫌を損ね、一方的に契約を打ち切られてしまったのです。
それ以降、狐の悪魔は二度と現れませんでした。
カースを使い残り寿命2年の宣告
狐の悪魔との契約を失ったアキは、別の悪魔とも契約していました。
その悪魔が「呪いの悪魔」カースと呼ばれる存在です。
「打て」という命令でカースの指が釘状の刀を弾き、敵に釘を打ち込むことができます。
打ち込まれた釘が3本に達した時、「とどめを刺せ」の合図で呪いが発動し、敵を強制的に殺害することが可能です。
刀に似た釘で対象を3回刺すことで、その悪魔を呪い殺す力を持っています。
非常に強力な能力ですが、契約者の寿命を代償として要求されます。
サムライソードとの戦いで呪いを発動したアキは、戦闘後にカースから残り寿命が2年しかないことを宣告されました。
サムライソードに奪われた姫野や特異課の仲間への復讐を果たすには、あまりにも短い時間です。
この段階でアキは、自身の死期を悟っていたと推測されます。
天使の悪魔の手を掴んだ決意
公安に留まるなら更に強力な悪魔と契約しろと指示されたアキが、次に選んだのが未来の悪魔でした。
しかしアキは未来の悪魔との契約後、新しいバディとも出会うことになります。
サムライソード戦で大きく減った人員を補充するため、特異4課に新たに配属されたのが天使の悪魔です。
人間への敵意はないとされていますが、直接肌が触れ合うと数秒で数ヶ月分の寿命が奪われる危険な悪魔でもあります。
4課で最強と言われる隊長・岸辺に次ぐ強さをマキマから認められていましたが、その外見は可愛らしい少女そのものです。
頭上に浮かぶ天使の輪で人外であることは判別できますが、強そうな見た目ではありません。
実際は男性で、怠け者の性格をしていました。
姫野の後を継いでアキの新バディとなった後も「働くより死んだ方がマシ」などと発言し、アキを悩ませることが度々ありました。
アキと天使の悪魔がバディになった後、台風の悪魔にデンジが襲撃される事件が起きます。
駆けつけた二人も、台風の悪魔が引き起こした暴風で吹き飛ばされそうになりました。
何とかアキが天使の悪魔の服を掴み、何かに掴まるよう指示しますが、天使の悪魔は「手を離していい」「死ぬ覚悟はずっと出来てる」と言って、アキの手を掴もうとしません。
しかしアキは自身の寿命が減ることを厭わず、強引に天使の悪魔の手を素手で掴んで引き寄せました。
驚く天使の悪魔に、アキは「死ぬならどっか遠くで死んでくれ」「目の前で死なれるのだけはもう御免だ」と応えます。
姫野をはじめ多くの仲間を目の前で喪失したアキは、自分の寿命を犠牲にしても後悔しない生き方を選択したのです。
この出来事でアキは更に2ヵ月の寿命を失いましたが、天使の悪魔からの信頼を獲得しました。
デンジとパワーを守り続けた優しさ
早川アキにとってデンジとパワーは、特別な意味を持つ存在へと変化していきました。
当初は対立していた3人でしたが、共同生活を重ねるうちに家族に近い関係性へと発展します。
最初は反発した3人の同居生活
デンジの3年先輩として登場したアキですが、真面目なアキは不真面目に映るデンジの振る舞いを容認できず、出会って間もなく衝突します。
上司のマキマに印象を尋ねられた際、アキはデンジを「こいつクズですよ」と酷評していました。
第一印象が最悪だった二人でしたが、マキマからデンジの監視を依頼されたアキは、彼と同居することになります。
底辺の暮らししか経験していないデンジには常識が欠如しており、アキは同居初日から散々な目に遭いました。
更に血の魔人パワーもアキの住居に加わったことで、アキのストレスは増大する一方です。
しかしデンジとパワーとの共同生活を継続するうちに3人の関係は深まり、最終的には家族に似た絆で結ばれました。
料理の腕前があり家事全般をこなすアキは、デンジとパワーの共同生活を支える保護者のような役割を担っています。
冷静に見えて、問題行動を繰り返す2人の面倒をきちんと見たり、デンジの危機に駆けつけたりと、意外に面倒見の良い性格も彼の人気の一因です。
家族になるまでの変化
銃の悪魔との討伐戦が開始されると知ったアキは、デンジとパワーが死ぬ場面を見たくないあまり、家族の敵である銃の悪魔との戦いを放棄しようとしていました。
デンジとパワーだけには幸福になってほしいというアキの願いは、それほど強かったのです。
デンジやアキの上司を務めるマキマは、謎に包まれた女性です。
当初からマキマに好意を持っていたデンジと同じく、アキもマキマへ好意を寄せていました。
出会った頃、デンジからマキマについて質問された時、アキは「マキマさんはいい人に決まってる。俺の命の恩人だ」と答えています。
その後もデンジに向かって「マキマさんはなぁ、お前みたいなチンピラが好きになっていい人間じゃねえんだよ」とまで言っていました。
このようにアキは以前からマキマへ好意を持っていたようですが、アキ本人は何故マキマを好きになったのか記憶が定かではありませんでした。
しかし物語が進展するにつれ、アキにとって本当に大切なのはマキマではなく、デンジとパワーであることが明確になっていきます。
仲間の生命を最優先し、自分の寿命には無頓着なアキの姿勢は、終始一貫していました。
弟を失った日とデビルハンター志望の原点
殺害された家族への復讐を果たすため、早川アキはデビルハンターになりました。
悲劇的な過去の経験が、彼の人生の方向性を決定づけました。
タイヨウとキャッチボールの約束
北海道で両親と弟のタイヨウと共に4人で暮らしていた早川アキ。
幼少期、体が弱い弟ばかりを心配する両親に愛されていないと感じ、弟への嫉妬心を抱いていたようです。
父親とのキャッチボールを望んで誘ったものの、弟の体調を理由に断られた日がありました。
かつて父と母、そして病弱な弟と生活していたアキは、虚弱な弟ばかりに注目が集まることに苛立ちを覚えていました。
しかし「アキ兄と遊びたい」という弟の言葉に心を動かされ、アキは折れて弟との遊びを受け入れます。
兄であるアキを慕っていたタイヨウの気持ちに応え、アキはキャッチボールを持ちかけました。
銃の悪魔への復讐を誓った瞬間
グローブを取るため家へ戻った弟を待つ間に、銃の悪魔が通過しました。
タイヨウがグローブを取りに家内へ入った直後、日本に上陸した銃の悪魔によって家屋が破壊されてしまいます。
早川アキの家族は、家と共に吹き飛ばされたのです。
この惨劇をきっかけとして、銃の悪魔への復讐を心に誓い、デビルハンターの道を歩み始めます。
両親と弟を銃の悪魔に奪われたアキは、悪魔は苦痛を伴って死ぬべきだと語るほどの激しい憎悪を悪魔全般に対して抱くようになります。
銃の悪魔への復讐を決意したアキは、このようにしてデビルハンターという職業を選んだのです。
しかし復讐を人生の目的として生きてきた早川アキにとって、この復讐心こそが彼の運命を左右することになります。
皮肉な展開として彼は、復讐対象である銃の悪魔に身体を奪われ、魔人として覚醒させられる宿命を背負うことになったのです。
クールな外見と面倒見の良さの魅力
『チェンソーマン』において早川アキは、特に高い人気を誇るキャラクターです。
その魅力は外見的要素だけでなく、内面的な部分にも現れています。
スーツ姿の大人びたビジュアル
長身・スーツ・仕事の能力という3つの要素が揃ったハンサム系のイケメンです。
年齢の割に大人っぽいクールな雰囲気も魅力を放つキャラクターでしょう。
常に行動を共にしているのが欲望に素直で下心丸出しのデンジなので、より一層彼の大人らしさが際立ちます。
早川アキのプロフィールは、公安対魔特異4課への所属、身長182cmとなっています。
正確な年齢は不明ですが、バディの姫野と初めて会った時点で未成年だったことから、おそらく20代前半と推測されています。
デンジとは対照的に、アキは常識的で落ち着いたキャラクターであり、他人に対して優しい人柄です。
ただしその優しさが時として、彼自身を窮地に追い込むこともあります。
真面目な仕事人間という点も素晴らしいのですが、一方で大人の女性から教わった煙草やピアスを身につけている、単なる真面目人間ではない側面も魅力的です。
髪を下ろした時に少しワイルドな雰囲気になる点も高評価です。
ちょんまげとヘビースモーカーという特徴も、彼のキャラクター性を強調しています。
声優については坂田将吾が担当しており、幼少期は村瀬歩が演じています。
名前の由来に関しては、世界的に著名なロシア製の銃「AK-47」から「アキ」という名前が付けられたことが公表されています。
またマキマへの好意は、マキマによる印象操作の結果として生まれていたため、「好意の感情が存在しない空虚な感じ」という意味合いも込められていました。
連載開始時からアキの死が定められていたという事実には驚かされますが、作品全体に張り巡らされた伏線を考えると、アキの名前の由来には多くの読者が納得しているようです。
人間の中では高い戦闘力
作中で強力な敵と対等に戦う様子が描かれており、アキは人間の範疇では強力であることが理解できます。
そもそも作中でデビルハンターはすぐに命を落とすと言われているので、生存している時点で相応の実力を保有しているのでしょう。
しかし周囲にいるのが悪魔に変身できるデンジ、血の悪魔であるパワーなど、とにかく規格外の存在ばかりなので、彼の強さが若干霞んでしまう面もあります。
この2人を相手に家族関係を築けるのも、アキの面倒見の良さと誠実さがあればこそです。
戦闘力という目に見える指標ではありませんが、アキの家族思い・仲間思いという性格は、きっと彼の精神的な強さを物語っているのでしょう。
時にその精神的強さで周囲を動かすこともあり、そう考えるとやはりデンジの傍にはアキの存在が必要だったと感じます。
初めて登場した時、デンジより3年長くデビルハンターとして従事しており、デンジとパワーにとっての先輩であり、面倒見の良い兄に似た存在として表現されています。
真面目で冷静な性格ですが、仲間であるデンジとパワーの身の安全を気遣い、時には上司に逆らってでも彼らを守ろうとする優しさも兼ね備えていました。
能力の高さと精神的な強さ、そして何よりも仲間を思う心が、早川アキの最大の魅力と言えるでしょう。
まとめ
『チェンソーマン』において早川アキは、最も悲劇的な宿命を背負ったキャラクターの一人です。
家族への復讐を胸にデビルハンターの道を選んだ彼は、皮肉にもその敵である銃の悪魔に身体を奪われ、かけがえのない仲間デンジの手で命を落とすという最悪の死に方を経験しました。
マキマの策略により銃の魔人へと変貌したアキは、未来の悪魔による予言通りの運命を辿ります。
デンジとパワーを守りたいという強い想いが、結果として悲劇を生み出してしまったのです。
復活の可能性については、銃の魔人として地獄で蘇っている可能性や、転生体という形で再び姿を現すシナリオが想定されます。
しかし記憶を保持したままでの復活は難しく、物語の重要性を考慮すると安易な復活展開は採用されないでしょう。
狐の悪魔、呪いの悪魔、未来の悪魔との契約関係、姫野や天使の悪魔とのバディ関係、そしてデンジとパワーとの家族同然の絆。
早川アキの生涯は短いながらも充実したものでした。
彼の死亡は読者に強烈な衝撃を与え、『チェンソーマン』という作品の重要な転換点となっています。